ST相談室で見えた、子どもたちの成長の瞬間

プレスタかがわでは、月に1回、ST相談室を実施していまして、そこでは、毎回ちいさな発見があります。

先日、子どもが何気なく「ビー玉が5個あるね」とつぶやいたとき、STさんが「そうだね。じゃあ、こっちは何個かな?」とそっと返す場面がありました。

たったこれだけのやり取りですが、この数秒の間に、数の理解や記憶する力、比較する力など、いくつもの学びが自然に生まれていきます。横で見ていた大学生スタッフが思わずメモを取るほど、自然で温かく、それでいて深い関わりでした^^

子どもが発した言葉を流さず、その瞬間にある「学びの芽」を逃さずに広げていく。ST相談室では、そんなやり取りが日常的に行われています。

小さなサインを見つける目

相談室では、発音のクセだけを見ているわけではありません。

助詞の使い方、会話のテンポ、ワーキングメモリ、表情、反応の速さなど、あらゆる角度から子どもの様子を観察しています。

たとえば、話が長くなると聞き取りが難しくなること。女子同士の会話に入りづらそうにしていること。促音(小さい「っ」)が曖昧になる場面があること。勝ち負けのある遊びでも、今日は落ち着いていられたこと。

これらはすべて、その子の「伸びているところ」と「これからの課題」を見つけるヒントになります。評価するためではなく、「どう支えれば、もっと安心して挑戦できるか」を探すための視点です。

STさんの問いかけに宿る、専門性とやさしさ

STさんの支援は専門的ですが、決して難しくないのが特徴です。

子どもが話した内容をそのまま教材に変えてしまう柔軟さ。活動道具をカゴごとに分けて、子どもから「これが終わったら次はこれ」と見通しを持てるようにする工夫。話すときは必ず子どもの目線に合わせる姿勢。

吃音の初期サイン、ラ行音の弱さ、言い直しのクセなど、気になる部分には丁寧に寄り添いながらも、決して追い詰めるような関わりはしません。

子どもが苦手を見せる瞬間は、「できない」ではなく「ここから一緒に練習できるね」の合図として捉えられる。そう感じられる空気がありました。

同席していた大学生が見つけた学び

この日のST観察に同行した大学生スタッフが、終わった後にこんな気づきを共有してくれました。

「子どもの発言を深める質問の仕方がとても参考になりました」 「会話の内容をそのまま学習に使っていて、自然だなと思いました」 「道具の配置が一目でわかることで、子どもの集中が続くんですね」 「子どもの目線に注意を向ける大切さを改めて感じました」

学びが「学びのまま終わらず」、現場の実践に変わっていくのがこの職場の特徴です^^

学びが循環していく現場

ST相談室での発見は、その日のうちに現場へ共有され、実際の支援に活かされます。

チャレンジの発表時に実物を見せる。活動をカゴに分けて「終わりの見通し」をつくる。子どもの視線に合わせて話す。

誰か一人が気づくと、すぐにチーム全体の支援の質が変わっていきます。「学ぶ → 試す → 改善する」が自然に回る空気が根付いています。

子どもの成長をチームで支える場所

子ども一人ひとりの「ことば」と「気持ち」に寄り添うためには、専門職だけでなく、支援員・大学生・スタッフ全員の連携が欠かせません。

ST相談室で起こった小さな気づきが現場での支援につながり、子どもの安心とチャレンジにつながっていく。そんな毎日を積み重ねながら、子どもたちが「できた!」を増やしていける場所を、チームで作っています^^